全日本学生フォーミュラ大会は、将来の自動車産業を担う人材を育てるための共益活動の位置づけで、2003年に自動車技術会主催でスタートしました。大学や専門学校の学生がチームを組んで、約1年をかけて企画・設計・製作したフォーミュラスタイルのレーシングカーを大会会場へ持ち寄り、競技を行います。
大会では車の性能だけでなく、車両コンセプト・設計・コスト審査など、ものづくりの総合力を問われるため、学生は機械・電気に限らず幅広い実践的な知識を習得するとともに、性能向上・原価削減・商品性向上などマーケティング分野にもチャレンジします。学生フォーミュラでの学校の授業だけでは経験することのできない活動を通して、昨今の若手技術者や学生に求められている「自ら問題を発見し、解決していく能力の向上」が期待されます。
大会においては、まず技術車検が行われ、通過したチームのみが動的競技に参加できるようになります。動的競技で出した成績は、各競技で最高成績を記録したチームを基準とした相対評価で点数に換算されます。動的競技と並行して静的競技も行われ、事前に提出した資料や当日発表の内容から点数が付けられます。そして、動的・静的競技の得点を合わせた総合得点により大会総合成績が決定されます。
競技の採点方法には大きく分けて静的競技と動的競技の二つがあり、各項目の得点を基に合計1000点満点で競います。
〔 〕内は配点を示しています。
車検〔0〕 | ①車両の安全・設計要件の適合 ②ドライバーの5秒以内脱出 ③ブレーキ試験(4輪ロック) ④騒音試験(所定の条件で排気音110dB以下) ⑤チルトテーブル試験(車両45度傾斜で燃料漏れ無し。ドライバー乗車し車両60度傾斜で転覆しない) |
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[静的審査] コスト〔100〕 |
予算とコストは、生産活動を行うにあたって考慮しなければならない重要な要素であることを参加者に学ばせることが狙い。 車両を見ながら事前に提出したコストレポートのコスト精度、チームによる製造度合等を確認し、レポートのコストと車両との適合を審査する。 一般に購入品目となる2項目について、部品製造プロセスなどの口頭試問を行い、それらの知識・理解度を評価する。 |
[静的審査] プレゼンテーション 〔75〕 |
学生のプレゼンテーション能力を評価することが狙い。 プレゼンテーションは、『審査のコンセプトに沿い、製造会社の役員に設計上の優れていることを確信させる』という仮想のシチュエーションのもとで行う。 |
[静的審査] デザイン(設計) 〔150〕 |
事前に提出した設計資料と車両をもとに、どのような技術を採用し、どのような工夫をしているか、またその採用した技術が市場性のある妥当なものかを評価する。 具体的には、車体および構成部品の設計の適切さ、革新性、加工性、補修性、組立性などについて口頭試問する。 |
[動的審査] アクセラレーション 〔100〕 |
0-75m加速。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。ベストタイムを競う。 |
[動的審査] スキッドパッド 〔75〕 |
8の字コースによるコーナリング性能評価。各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。タイムを競う。 |
[動的審査] オートクロス 〔275〕 |
直線・ターン・スラローム・シケインなどによる約800mのコースを2周走行する。 各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。ベストタイムを競う。 エンデュランスは、このオートクロスの早いチーム順に走行する。 |
[動的審査] エンデュランス 〔275〕 |
直線・ターン・スラローム・シケインなどによる周回路を約20km走行する。 走行時間によって車の全体性能と信頼性を評価する。 |
効率〔100〕 | エンデュランス走行時の燃料・電力消費量を評価します。 |
合計〔1000〕 | 合計点で順位を決定 |
※全日本学生フォーミュラ公式サイト[審査概要]より抜粋